一千年后の世界|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL

 夜の街をうろつく怪人がいて、警官隊のピストルをねじ切って一蹴する。やがてある屋敷に忍び込んで女の子をさらう。女の子の兄・ケン一は怪人を追い、途中で行き合った通行人のハム・エッグと一緒に怪人の逃げ込んだ屋敷に入ると、そこは花丸博士の研究所だった。
 怪人は博士が発明したタイムマシンで一万年前から連れて来たのだが悪さばかりするとのことで、博士は女の子をさらうなどケシカラン、とこの原始人を過去に送り返してしまう。過去の映像だけ見ることもできて、送り返された原始人は寂しがっている。

 ここでハム・エッグはピストルを取り出して時間機をよこせ、と言い出すが博士は機転でこれを撃退。博士はケン一にわしの助手にならないか?と誘って時間旅行へ行くことに。ケン一の妹らしいリイコは残って機械の番をすることになる。

 博士とケン一はリイコの操作する時間機でまず一千年前の世界へ。ヒゲオヤジの顔をしたボロ王という王様に魔法使い扱いされるが、王の魔法使いルンペーンに妬まれたので面倒を避けて城の外へ移動する。空間的な移動も可能な様子。
 移動先で自殺しようとしていた隣国の女王を助ける。彼女はボロ王のために国の財産をすべて奪われたとのこと。博士は女王のためにボロ王が奪った宝を取り返してやることにする。

 その頃現代では手下をつれて再びやって来たハム・エッグがリイコちゃんを縛り付けて時間機を奪う。でたらめに機械を操作するうちに原始人を呼び出していまい、リイコを気に入っている原始人は悪人たちを蹴散らしてリイコを助けるが、この様子を見ていなかったリイコは原始人に怯え敵意を向ける。

 過去では女王を助けようとボロ王の宝物殿に忍び込んだ博士とケン一が、時間機の電波が途絶えたことでピンチに陥るがなんとか切り抜ける。だが女王はつかまってしまう。二人はルンペーンを捕虜にして宮殿に乗り込み、女王を救出。現代でリイコが偶然レバーに触ったことから電波が戻り、無事現代に戻るがボロ王も連れてきてしまう。博士は原始人がいるのを見て即刻過去に送り返し、ボロ王を改心させる。ボロ王を過去に戻してやろうともう一度時間機に三人で乗り込む。
 だがリイコが操作を間違えて千年後の世界へ。ボロ王はアラーの神に祈っているのでイスラム教徒なのかも。どうせなら見学していこうと図書館へ。ここで司書をしていたおしりたんていみたいな顔のケン一の子孫に出会い、未来世界を案内してもらう。頭だけになった市長も同行する。
 だがボロ王は置いてきぼりになってしまって不審人物扱いされて大暴れ。結局捕まって博士たちと合流するが、大暴れしたために恐れられることに。

 未来世界に突然氷河期がやってきて、未来人類は金星への移住を計画する。金星には地球人より遅れた同じような文明があり、地球からの移民を受け入れるか否かで論争に。時間機の空間移動機能でひと足先に金星の様子を見に行った博士とケン一は金星人に地球のスパイだと捕まってしまう。金星人にはヘソがなく卵から産まれるとのことで、ヘソで地球人だとばれてしまう。
 金星では絶対反射能というものを開発していて、これで地球人を全滅させようとしていることを知った二人はこれを防ごうとするが金星の科学者レロ博士に時間機を取り上げられてピンチ。

 現代でもその間にいろいろあって、ハム・エッグが恐竜を呼び出してしまい、これと一緒に戻ってきた原始人がリイコを守ろうと奮戦している。
 この余波で無事現代に戻った博士とケン一は改心したレロ博士と仲直りする。

 街で暴れる恐竜をおとなしくさせて戻ってきた原始人は、また悪さをしおって!と原始時代に戻されてしまい、結局リイコと仲良くはなれなかった。

 珍アラビアンナイトに収録されている。
珍アラビアンナイト【電子書籍】[ 手塚治虫 ]
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